悲劇的序曲とエキストラ

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トラを引き受けることになったオケのプログラムにブラームスの悲劇的序曲があった。

今のところ依頼されている乗り番に悲劇的序曲はないのだけれど、悲劇的序曲のエキストラにはとても印象的な思い出がある。

 

 

遡ること数年前。

学生のとき、同じように、トラを引き受けたオケのプログラムに悲劇的序曲があった。

悲劇的序曲とカレリア組曲の2曲乗りを頼まれて、音程とリズムは問題ない程度にまで練習して、初回の練習を待つばかりの状態にしていた。

 

 

当時は、忙しいときやお金が厳しいときは間が空きつつも、1~2ヶ月に一回程度、プロオケで奏者をされている先生のレッスンを受けていた。

週末演奏家の今よりも当時のほうが全然よく弾けていた。

 

レッスンでは、取り組んでいるオーケストラの曲ではなく、基本的には音階やカイザーなどの練習曲に取り組んでいた。

下手な演奏であってもとても褒めてくださるやさしい先生だった。

 

 

そんなときに、エキストラ先の練習の直前にレッスンをすることになってしまい、悲劇的序曲とカレリア組曲の練習にいっぱいいっぱいで、普段レッスンで取り組んでいた練習曲の練習が全然進んでいなかった。

なので先生にお願いしていつもの練習曲ではなく悲劇的序曲のレッスンをしていただいた。

音程とリズムは問題ない程度まで練習していたので、細かなところを色々指摘していただこうと思っていたが、一通り弾いたところで先生から開口一番このように言われた。

 

「全然だめ。この状態でエキストラに来られても迷惑でしかない。」

 

この言葉に続いて、アーティキュレーション、フレーズ感、音色、他にもたくさんのことを指摘された。

当時も決して自分が上手だとは思っていなかったけど、そこまで言われるとも思っていなかった。

 

「たとえわずかな謝礼だったとしても、お仕事として引き受けるんだからプロとして弾かないと」

 

 

それ以降、エキストラを引き受けるときはこのレッスンのことを思い出す。

 

最近はこのレッスンやそれらの言葉の重みを忘れかけてたけど、悲劇的序曲と聞いてまた鮮明に思い出した。

ただでさえ週末演奏家になって当時より下手になっている。

迷惑にならないようにちゃんと練習しよう、と思うのであった。

 

また先生のレッスン受けたいな。